第2部 基本計画
第1章 保健・医療・福祉のセーフティネット注1の充実
−安心への架け橋−
第1節 町民一人ひとりの健康づくりを支援する(保健)
現状と課題
深浦町の少子・高齢化は急速に進んでおり、平成12年2月1日現在で65歳以上の方が2,453人と全人口の26.2%に達しています。これは全国平均、県平均を大幅に上回っており、町の社会・経済に与える影響が懸念されています。
このような背景から、深浦町は平成12年「健康長寿のまち」を宣言し、健康づくりを進めるためのさまざまな取り組みを行ってきました。
高齢化とともに医療費も増加する傾向にあることから、お年寄りが元気で長生きできるよう、日常生活のなかで健康づくりに取り組んできた結果、国民健康保険加入者一人あたりの老人医療費は、県内67市町村中62位(町民一人あたりの一般医療費は44位)と低く推移しています。
保健婦(士)は、平成11年度までに5名に増員し、人口2,000人当たり1人の保健婦(士)という目標は達成しました。
保健婦(士)の業務とは別に、地域住民の健康状態を把握し適切な助言を行う保健協力員は、増員計画に基づき、現在30世帯当たり1名の100名体制で活動しています。これにより住民基本健診の受診率が大きく向上しました。
注1 セーフティネット
生活・安全対策の網の目。十分な保健医療、老後の安心、災害事故犯罪への対策などを総称していう。

保健協力員のうち48名が食生活改善推進員を兼務しており、栄養教室の開催などによって地域住民の食事や栄養面からの健康づくりをサポートしています。
母子保健面では、健診時に教育相談員を配置したことにより、情緒面での支援が適切にできるようになりました。今後は栄養士、理学療法士の確保が必要です。
町民の死亡原因の1位となっている悪性新生物(ガン)の中で、最も多いのは肺ガンです。そこで、肺ガン予防の一環として、禁煙チャレンジ教室、ニコチン・パッチ注1への助成、小中学校での禁煙・防煙教育を実施しています。
さらに、子どもの健康と健全育成のため、たばこの屋外自動販売機の撤去が必要となっています。また、町では生きいき健康福祉祭、健康づくり歩け歩け大会など、楽しみながら参加できるイベントを通じて健康づくりを推進しています。
このように、すべての町民が健康で生きがいを持ち、安心して暮らせる「健康長寿のまち」を築くため、長期的視点にたった総合的な保健、医療施策が必要です。
1.保健活動の充実
基本施策
自らの健康は自らつくる。
施策の内容
→「健康長寿のまち」宣言文に基づいた、町民一人ひとりのよりよい生活習慣の実践を保健協力員、食生活改善推進員と連携して支援します。
→栄養士の配置を図るとともに食生活改善講習会を実施します。
→健康運動指導士の養成を図るとともに体力に応じた運動、歩行習慣を身につけるよう啓発します。
→禁煙希望者へのニコチン・パッチ助成など禁煙支援制度の継続、公共施設及び職場での分煙の推進、子どもや若い女性の禁煙・防煙教育、子どもがたばこを買えない環境づくりを推進します。
→歯科検診と虫歯予防を推進します。
→他人を思いやる心、ボランティア活動などにより心豊かな生活をめざします。
注1 ニコチン・パッチ
皮膚に貼ってニコチンの禁断症状を緩和するニコチン入りのパッチ(絆創膏)。禁煙補助剤として処方される。
2.地域住民の健康情報の体系的整備
基本施策
町民の健康情報をコンピュータで管理する。
施策の内容
→健康診断受診者の受診票発行、結果管理、集計分析をコンピュータで行います。
→乳児、幼児、児童の予防接種状況をコンピュータで管理します。
→喫煙状況調査にコンピュータを活用します。
3.町民総合健診の普及
基本施策
住民検診の受診率を高める。
施策の内容
→保健協力員との連携を密にし、住民検診の必要性や検診の実施日程など広報活動を充実します。
→特に受診率の低い子宮ガン、乳ガン、甲状腺ガン検診の受診率を高めます。
→予防活動の一環として、骨密度検査、眼庄測定、C型肝炎検査を計画的に実施します。

第2節 幸せな高齢化社会を創る(高齢者福祉)
現状と課題
深浦町の高齢化率は県内でも高いレベルの26.2%(12年2月1日現在)で、高齢者の比率はこれからも増えるものと思われます。
深浦町には、介護老人福祉施設「はまなす荘」(定員50)、(公)深浦町デイサービスセンター(定員20)、(福法)デイサービスセンター三愛、深浦町在宅介護支援センター、深浦町ゆとり在宅介護支援センターの高齢者福祉施設があります。
高齢者の自主的な活動も活発で、町では元気なお年寄りの生きがいづくり支援活動として、生きがい健康づくり事業や生きいき交流会事業などを行っています。
一人暮らしの高齢者支援事業としては、安否確認と緊急通報のための福祉安心電話を設置して、ふれあいコール(安否確認電話)を実施しています。また、70歳以上の一人暮らしの方への給食サービスを行っています。
13年2月の要介護認定者は、居宅サービス利用133人と施設利用83人の計261人となっています。高齢化の進展とともに、さらに増えることが予想されます。
介護保険による公的サービスに加え、地域が協力して高齢者を支える観点から、民生委員、ほのぼの交流協力員を設置し、友愛訪問などを通して対象となる一人暮らしのお年寄りの安否確認と孤独感の解消に努めています。
また、隣近所レベルのボランティアとして近隣ネットを設置し、毎日の安否確認や買い物など日常生活の支援を行っています。
さらに、地域住民を対象にヘルパー養成講座を開催し、家庭での介護に生かすとともに、介護に関わる就労を促して地域に密着した福祉マンパワー注1の発掘と育成を進めました。
病気や負傷により身体機能が低下している住民に対し、機能の維持、回復を図り日常生活の自立を支援するため、リハビリ教室を開催しています。今後は、在宅介護サービスの一つとして理学療法士の訪問事業を積極的に進める必要があります。
注1 福祉マンパワー
福祉関係に携わる人々、その労働力、人的資源
.高齢者生活支援体制の充実
基本施策
高齢者生活支援施策を充実する。
施策の内容
→介護予防・自立支援のための事業種目の見直しと充実を図ります。
2.在宅サービスの充実
基本施策
一人でも安心して暮らせる町にする。
施策の内容
→福祉安心電話の増設とシステムの変更を推進します。
→70歳以上の一人暮らしの方への給食サービスを充実します。
→社会福祉協議会と協力して、友愛訪問やほのぼの交流事業をさらに充実し、一人暮らしのお年寄りの孤独感の解消を図ります。 →高齢者が安心して買い物ができるよう地域の商店振興を図ります。
3.元気老人の生きがい支援
基本施策
いつまでも元気に暮らせる町にする。
施策の内容
→老人クラブの活動など、お年寄りの自主的な活動を支援します。
→高齢者にも無理なくできる軽スポーツ注2の普及や演芸大会の開催を支援します。
→シルバー人材バンクの活動を支援します。

注2 軽スポーツ
ルールが簡単で体力をあまり使わずに楽しめるスポーツ。ゲートボール、ペタンクなど
4.介護保険への対応
基本施策
公平できめ細かい介護保険システムの充実を図る。
施策の内容
→介護保険事務システムの充実を図ります。
→つがる西北五広域連合と連動した要介護認定オンラインシステムの充実を図ります。
5.地域が支える高齢社会
基本施策
みんなで見守る町にする。
施策の内容
→ほのぼの交流協力員を増員するとともに、近隣ネットの活動の充実を図り、地域全体で高齢者を見守ります。
→「10世帯に一人ヘルパー資格者、家庭に一人の介護技術者」を目標に、一般住民を対象にしたヘルパー養成講座や介護講習を継続して開催します。
→日常生活の自立支援のため、リハビリ教室を開催するとともに、在宅介護サービスの一つとして理学療法士の訪問事業を進めます。

第3節 ともに支え合って生きる社会を創る(障害者福祉、ボランティア)
現状と課題
現在、深浦町には424人の障害者手帳をもつ町民がいます。特別な医学的治療や生活訓練を必要とする人や、自宅で自立した生活を送ることが困難な重度の障害者は中里町や青森市などの身体障害者更生援護施設に入所しています。18歳未満の知的障害または肢体不自由児は森田村、青森市、浪岡町の施設に入所しています。
18歳以上の知的障害者は、森田村、五所川原市などの知的障害者更生施設、授産施設、グループホーム注1に入所または通所していますが、町内で必要な指導や訓練を受けられ、働くことができる施設の整備が望まれています。
精神障害者については、就職に困難をきたしていることから、職業訓練、職場の確保が望まれています。
一方、心身に障害のある人も同じ町民として共に暮らせるよう、子どもの頃からノーマライゼーション注2の理念を教えていくことが大切です。
その理念を実現するためには、障害者との交流機会を広げ、ボランティア活動等を通じた交流を進めて、連帯感のある地域社会をめざす必要があります。
在宅障害者(児)支援事業として、地域における身体障害者の自立と社会参加の促進を目的に、身体障害者ホームヘルプサービス事業、障害児・知的障害者ホームヘルプサービス事業、身体障害者短期入所事業が実施されています。今後は障害者の意識調査を行い、障害者及び介護を受けている町民の意見、要望をふまえた障害者計画を策定し、地域の福祉ニーズに合った社会を形成していくことが必要です。
施設整備としては、平成6年3月に策定された「青森県福祉のまちづくり整備指針」により、町民総合センター、関診療所、フィットネスプラザゆとり、町民体育館、ウェスパ椿山の各施設、町内公衆トイレなどのバリアフリー化注3を進めました。道路や歩道など土木施設のバリアフリー化への改修はまだ進んでいないところもありますが、今後はさらに進んだユニバーサルデザイン注4への取り組みが必要です。
注1 グループホーム
高齢者や障害者が少人数で共同生活をする家
注2 ノーマライゼーション
高齢者や障害者が日常生活でともに助け合っていくことが正常(ふつう)な社会であるという考え方
注3 バリアフリー化
高齢者や障害者が社会生活を送るときの障害(バリア)をなくすこと。建物や通路にスロープを設置したり、音声案内を設置すること。
注4 ユニバーサルデザイン
障害者にも高齢者にも子どもにも「誰にでも使いやすくやさしい」デザイン。
地域にとけ込む障害者支援活動として、身体障害者スポーツ大会の開催やボランティア活動の支援を通してふれあいを深めています。それでも交流はまだまだ希薄と思われ、特にボランティア活動を支援する事業の充実が必要です。
1.知的障害者更生施設・授産施設の整備
基本施策
知的障害者の自立を支援する。
施策の内容
→知的障害者更生施設、授産施設の整備を支援します。
2.ノーマライゼーションの浸透
基本施策
ノーマライゼーションの理念を広める。
施策の内容
→小中学校の児童生徒と障害者との交流機会を増やします。
→中高生の高齢者支援ボランティア活動への支援を行います。
3.在宅サービスの充実
基本施策
在宅支援サービスの利用を促進する。
施策の内容
→在宅の障害者の生活状況の実態調査を行います。
→在宅の障害者及び介護を受けている町民への聞き取り調査を行い、ニーズの把握に努めます。
→在宅の障害者及び介護を受けている町民とその家族への生活相談機能や情報提供機能の充実を図り、各種サービス事業の利用を促します。
4.公共施設のバリアフリー化
基本施策
さらに進んだユニバーサルデザインをめざす。
施策の内容
→公共施設のバリアフリー化を進めます。
→土木施設のバリアフリー化が遅れている個所を調査し、計画的な改修を進めます。
→民間施設や個人住宅も含めて、さらに進んだユニバーサルデザインの理念を広めます。
5.地域にとけ込む障害者支援
基本施策
みんなで支え合う地域社会をつくる。
施策の内容
→バリアフリー化やボランティア活動支援を通して、ノーマライゼーションの理念普及に努めるとともに、地域における障害者の職業訓練や職場の確保等により、自立と社会参加の促進を図ります。
第4節 命の安心を守る(医療、救急医療)
現状と課題
現在、深浦町で医師が常駐する医療機関は、入院設備のある深浦医院(ベッド数18)と国保関診療所の2個所、そのほかに歯科診療所があり、町民の健康維持に役立っています。
しかし、医院の診療科が内科に限られ、外科や眼科、耳鼻科など専門科の治療は町外の医療機関に頼っているのが現状です。
これらの専門医療、高度な技術を要する医療は他市町村の医療機関との連携のもとに確保していく必要があります。
また、休日の医療の確保を推進する必要があります。
一人当たりの老人医療費は、県内67市町村中62番目の低い位置にあります。これは各種健康づくり活動の効果が出ているものと思われ、今後も予防と早期発見、早期治療に力を入れる必要があります。
在宅医療等推進情報提供システムは、国保連合会が持つ医療情報と市町村保険者が持つ福祉情報を整備・システム化するとともにネットワーク化することで、在宅の患者や家族に対するサービスの観点からも支援していくシステムで、年4回データを更新しています。
今後は、高齢者を中心に、複数科を複数市町村の医療機関で受診することが増えるものと思われることから、ICカード注1による医療情報の共有化など、広域でのデータ管理がさらに必要になっていくものと思われます。
注1 ICカード
IC(集積回路)をプラスチックカードに埋め込んだもの。健康情報や投薬情報を記憶させ、薬の無駄や重複を防ぐ。

1. 医療環境の充実
基本施策
他市町村の医療機関と連携して高度医療を確保する。
施策の内容
→内科以外の医療の確保を促進します。
→休日医療体制を整備充実します。
→ICカードによる医療情報の共有化を近隣町村に働きかけます。
2.救急医療体制の充実
基本施策
急病にも安心な救急態勢を構築する。
施策の内容
→拠点医療機関との連携を密にして、救急車による搬送態勢の充実を図ります(第4章とも関連)。
3.国民健康保険の充実
基本施策
国民健康保険の健全運営を図る。
施策の内容
→国民健康保険料の収納を効率的に行うため、広報活動の充実を図ります。
→複雑化、広域化する医療事務の増大に的確に対応するため、コンピュータ導入たよる効率的な事務処理を進めます。
第5節 福祉を高め、幸せな社会を創る(社会保障、児童・母子・父子福祉、勤労者福祉)
現状と課題
平成11年現在、深浦町の国民年金被保険者数は2,600人、保険料納入額227,370千円、年金受給件数2,800件、年金受給金額1,432,512千円となっています。
高齢化が進み、若年層に将来の年金受給権に対する不安が多く、そのため保険料未納者も若年層が大きい割合を占めるようになってきました。
また、景気の低迷、第一次産業の不振により収入が低下し、保険料の納付が困難となっている世帯が増加しているため、全体的に見ても免除該当者と保険料未納者数が増加しています。今後は老後の所得の中核が年金であることを踏まえ、住民が老後に安心して生活していくために、国民年金の受給権を確保するための方策が必要です。
女性の社会参加による就労が拡大しており、子育てと仕事の両立を支援する必要があります。また、育児休業制度の普及と充実も図る必要があります。
少子化、核家族化の進展により、世代間の育児知識の継承が困難になっており、加えて地域における子育ての助け合いも希薄になってきています。
そこで、子育ての孤立化を防止し、身近に育児相談や保育サービスの情報提供を行い、地域の子育てサークルに参加しやすくなるよう子育て支援ネットワークの中心として法人立保育園に「地域子育て支援センター」を設立しました。利用者は年々増加しており、今後は深浦地区にも整備することが求められています。
また、地域の子育て支援の担い手として、町内に15名の子育てメイトを配置し、各地区の子育て中の家庭を訪問して相談や助言を行っています。

保育園は、現在7個所あり、0歳児から就学前までの子どもたち290名が入所しています。しかし、少子化の影響で定員を満たしてない保育園もあります。
一方、少子化、核家族化傾向の中、兄弟姉妹が少なくなっていることから、放課後の子どもが安心して遊び、異年齢の子どもたちとの交流を図る場所、また親同士の交流の場ともなる事業の取り組みが必要となっています。
出稼ぎについては、ここ数年の景気の停滞の影響もあり、減少していますが、希望者には出稼ぎに関する情報収集や出稼ぎ先への情報提供を行い、出稼ぎに当たっては、危険の多いものは避けるよう、また出稼ぎ手帳の交付を受けるよう指導しています。
1.国民年金の充実
基本施策
ゆとりある老後のため年金受給権の確保に努める。
施策の内容
→20歳到達者の適用漏れがないように、戸籍担当と連携を図りながら加入促進を進めます。
→広報誌やパンフレット等を利用して、国民年金制度の内容周知を図ります。
→未納者に対し督促状送付、電話催告、戸別訪問等の積極的な納付指導を実施します。
→国民年金保険料納付率の向上を図るため、今後も納入組合の育成を積極的に進めます。
2.低所得者福祉の充実
基本施策
低所得者の生活自立を支援する。
施策の内容
→各種援護資金、制度資金などの適切な運用を図ります。
→生活相談や就労相談に助言を行い、技能習得の支援を行います。
3.子育て支援体制の充実
基本施策
地域全体での「共育」を支援する。

施策の内容
→地域子育て支援センターの新規整備と拡充を図ります。
→放課後児童対策事業に取り組みます。
→集会所を利用した子どもたちと高齢者の交流事業を推進します。
→ひとり親家庭には子育て相談のほか生活全般についての相談態勢を充実します。
4.働く人の支援体制の充実
基本施策
勤労者対策を進める。
施策の内容
→地元での就労場所確保に努めます。
→出稼ぎ者には、出稼ぎ手帳の交付を進めます。
→出稼ぎ中の町民に対して、定期的に情報提供と情報収集を行い、出稼ぎ者と留守家族を援助します。
→出稼ぎ者の健康診断への助成を行います。