| a)オシラサマとイタコの口寄せ
■オシラ講
オシラサマは、北海道渡島檜山地方・青森県の津軽地方と下北地方・青森県と岩手県にまたがる南部地方・秋田県・山形県・宮城県の南三陸地方・福島県に分布する、男女一番い(つがい)の人形を御神体とする、民間の信仰です。御神体そのものは木や竹の棒で(ほとんどの場合、桑の木)、これに「オセンダク」と呼ばれる端切れを被せる。オセンダクで頭まで包んだものを包頭型、オセンダクから頭が顔を出したものを貫頭型と呼んでいます。戦後弘前市の久渡寺から広まった津軽地方の金襴の衣裳を纏った煌びやかな包頭型のオシラサマを、とくに久渡寺型として区別します。
オシラサマは、カイコの神だとも、農神さまだとも、火伏の神だとも、また、目の神だとも言います。
オシラ講は、小正月から春の彼岸にかけて、オシラサマを「アソバセル」行事です。オシラ講にはイタコを呼んで「オシラ祭文」を読んだり、「口寄せ」してもらうのが一般的です。しかし、今日ではあまり行なわれなくなったようですが、八戸市近郊の福地村や、下北半島の川内町には、子どもたちがオシラサマを借りに来る、という風習もあります。下北や北海道では、オシラ講の日に麺類(とくに蕎麦)を食べます。
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六ヶ所村のオシラサマ |
■イタコの口寄せ
1・イタコとは
イタコが死者の霊を降ろすことを「口寄せ」と言います。イタコは盲目の女性が少女の時代に修行を積んだもので、目が見えないために人より感じやすく、人より多くの言葉が聴こえるわけです。
2・お婆ちゃんたちのコミュニティ
この地域では、小正月から春の彼岸にかけてと、秋の彼岸のころと、年に二度、イタコが村々を「ご祈祷」に廻ります。イタコを呼ぶのはお婆ちゃんたちの講。一軒から一人ずつのお婆ちゃんが集まって、「地蔵講」を組織しています。イタコはこの講に呼ばれ、産土の神さまを降ろして豊作や大漁を占い、それから家のご先祖様を降ろしてもらう。一年家族が幸せに暮らせますように。これが本来の「口寄せ」なのでした。
3・死者もまた共同体の一員
ところで、お婆ちゃんたちの集まりでは、亡くなった人もまた「むらびと」なのです。死者はいつも身近にいて見守ってくれている、お婆ちゃんたちはそう信じています。ただし、死者とはいつでも話しができるというわけではありません。イタコの役割は、姿を現わさぬこの「むらびと」たちとのあいだを取り持つこと。それも、このご祈祷のあいだだけと決まっていました。
4・イタコマチ
大勢のイタコが集まって「口寄せ」することを「イタコマチ」と言います。「イタコの市」という意味です。恐山では、夏と秋の大祭のとき、盛大にイタコマチが開かれます。誤解のないように言っておきますが、イタコはいつも恐山にいるわけではなく、恐山ではいつもイタコマチが開かれているわけでもありません。恐山でイタコマチが開かれるようになったのは日清戦争のころ、それも盛大になったのはここ半世紀のことなのです。
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