
○ 伝統工芸
青森県では国の「伝統的工芸品」にも指定されている津軽塗をはじめ、津軽こぎん刺し、南部菱刺しなど県伝統工芸品として、27の工芸を指定しています。
渡島檜山地方では、北海道の木彫り熊発祥の地である八雲町の熊の木彫り、北海道内で歴史の古い町である江差町に製籠技術、桐加工技術、町の姥神祭りの山車関係に関する技術があります。
(1)編む
青森市の縄文時代の遺跡『三内丸山遺跡』において、ふくろの形をした編み物が発見され、「縄文ポシェット」と名づけられました。これはイグサ科の植物の茎を「網代編み(あじろあみ)」という編み方を使って編んだもので、高さはおよそ12cmに及びしっかりと編み込まれていて、当時の人々がすでに高度な「編む」という技術をもっていたことがわかります。
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1. あけびづる細工(青森県弘前市)
江戸時代から青森県津軽地方には、アケビヅル(つる性の植物)や山ブドウヅルなどを材料にした編組品の製品が盛んであり、岩木町の岳温泉にて温泉湯治客のみやげ品としたのが起源ですが、実用的生活用品として農家や市民に愛用されてきました。
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2. 津軽竹篭(青森県岩木町)
津軽竹篭は、江戸時代末期から岩木山麓や八甲田山麓のネマガリダケを使用する竹細工で、六角目等大まかな網目が特徴です。ネマガリダケは、イネ科の常緑多年生草木で、青森県の山地帯に生えるササダケのことを指しています。
3. 製籠技術(北海道江差町)
江戸時代末期から北海道随一の町として栄えた江差では、多様な職種の職人が暮らし、竹籠など生活道具などは地元で生産する生活が続きました。製籠もその一つですが、現在は職人が一人となっています。
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(2)織る
1. 津軽こぎん刺し(青森県弘前市ほか)
こぎん刺しは、江戸時代(約200年前)に遡ります。
麻の着物の保温と補強のために、麻の布地の要所要所に木綿で刺子を施されるものです。模様は、幾何学的模様で曲線を使用していません。用途は、労働着、仕事着、晴れ着として広く着用されてきました。
明治中頃から、こぎんは廃れていましたが、昭和35年に「弘前こぎん研究所」により甦り、 現在は、財布、テーブルセンター、名刺入れ、巾着、テッシュケースなどの製品に生かされています。
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2. 南部菱刺し(青森県八戸市ほか)
菱刺しは、江戸時代(約200年くらい前)に起源をもち、薄藍の木綿地に紺と白の糸で刺したものです。大正時代には緑や赤い糸も使用されました。
手法はこぎん刺しとほぼ同じですが、模様が菱の連続である点が特徴です。また、こぎん刺しとの大きな違いは、こぎんは奇数に刺すが、菱刺しは偶数に刺すことです。
菱刺しもこぎん刺しと同様に一時衰退しましたが、現在は、八戸市、七戸町のグループにより創作されています。
3. 南部裂織(青森県八戸市、七戸町ほか)
江戸時代(120〜150年ほど前)に、八戸市や南部地方(青森県東部)ではじまったもので、着古した着物や布をを裂いて緯糸に織り込み再生する機織の一技法です。
南部地方だけではなく東北から北陸、山陰など日本海岸の各地で見られます。
裂き織りは、現在も実用品として、財布、小物入れ、手提げ、スリッパなど製作されています。
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(3)塗る
1. 津軽塗(青森県弘前市、青森市ほか)
津軽塗は今から300年ほど前、津軽藩4代藩主津軽信政が治世していた元禄年間とその前後の頃に起ったと考えられていますが、当時の特権階級のためにつくられた高級漆器で、津軽藩の支えのなかで育てられました。
元禄期以降、塗師のなかで有名だったのは青海屋源兵衛です。そのルーツをたどると、若狭国小浜の塗師であった池田源兵衛にたどりつきます。
池田源兵衛は、延宝5年(1677年)に津軽に招かれ、江戸で変わり塗り技法を習得して帰藩し、在来の技法とともに、藩制崩壊まで一門のなかで受け継がれました。
源兵衛が若狭国の出身であること、若狭塗と津軽塗を技法が「研ぎ出し変わり塗」という大筋では一致していることから、若狭塗が津軽塗の起源であるという説もありますが、結論付けはできないようです。「研ぎ出し変わり塗」とは、唐塗、ななこ塗、錦塗、紋紗塗の4技法を中心に、これらの応用技術を含む技法です。
津軽塗とよばれるようになったのは明治維新以降のことで、青森県随一の伝統工芸として発展してきました。昭和50年(1975年)5月には、国の伝統的工芸品に指定されました。
現在、製造されている製品は日常の食器、茶道具類、文房具類など圧倒的に日用品が多く、家具、花器、花台などの従来の品目に加え、パソコンのマウスなど新たな製品にも取り組んでいます。
2003年2月に青森県で開催した第5回アジア冬季競技大会メダルは、津軽塗の技術を遣ったものです。
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【文献】
・望月好夫『津軽塗』2000.4 理工学社
(4)彫る
1. 八幡馬(青森県八戸市)
八幡馬の起源は 約700年前位につくられた木彫りの馬が元祖といわれていますが、本格的に作られたのは江戸時代になってからです。
八戸市櫛引八幡宮では毎年旧暦の8月14日、15日に流鏑馬奉納の行事が行われますが、八幡馬はこの流鏑馬の駿馬を形どったもので、江戸時代に参道に出た市でお土産として販売されました。
素材は、南部地方のアカマツやカツラの木を用い、鉈で荒削りし2つに割って2個の馬を作ります。胴体は、主に黒塗と赤塗を各1個つくりますが、白塗のものもあります。
八幡馬は、木下駒(宮城県)、三春駒(福島県)と並んで日本三大駒の一つです。
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2. 善知鳥ダルマ彫(青森県青森市)
善知鳥(うとう)ダルマ彫は、青森県特産のヒバやポプラの木を用い、その「自然な割れ」を活かしてつくるものであり、大正10年に青森市の今克己氏によりはじめられました。善知鳥はかつて陸奥湾に一帯にたくさん生息していた鳥のことでで青森市の市鳥に指定されており、その名前をとったものです。
3. 熊彫り(渡島支庁八雲町)
八雲町に徳川農場を営んだ徳川義親が1922年(大正11年)にスイスを旅行した際、土産品として売られていたスイス製の木彫り熊を購入しました。義親は八雲町の農閑期の副業にとこれを見本にして木彫り熊の製作を農家に奨励しました。
大正12年から13年にかけ、酪農家の伊藤政雄氏が製作した北海道木彫り熊の第1号作品が、八雲町の町有形文化財に指定され、八雲町郷土資料館に保存されています。そして、昭和の初期には八雲の木彫り熊の評判は不動のものとなりました。
八雲の木彫り熊は、現在、北海道内数ヶ所にあるアイヌ民芸品の木彫り熊とは別のものです。
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(5)その他の工芸
1. 津軽こけし(青森県黒石市・大鰐町)
津軽こけしは、大正時代に黒石市温湯の盛秀太郎によって創作されました。特徴は1本の木から削りだす作りつけのため頭が回転しないこと、括れた胴、胴に描かれるアイヌ模様、ダルマの顔などに特徴があります。
現在の津軽系こけしは温湯亜系と大鰐亜系に分かれます。
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a) |
温湯(ぬるゆ)こけし
(青森県HPより「青森県伝統工芸品」) |
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b) |
大鰐こけし・ずぐり
(青森県HPより「青森県伝統工芸品」) |
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c) |
黒石市津軽こけし館(黒石市HP観光情報) |
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d) |
盛秀太郎
(東奥日報社HP 長期連載 20世紀の群像) |
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【文献】
・ 徳井信也『津軽こけし工人 盛秀太郎の世界 盛秀太郎聞き書き』1984.7 地平社
2. 箱館焼(函館市)
江戸末期に箱館において箱館焼が焼かれていました。江戸の薬園掛渋江長伯の庭焼をしていた石原寿三郎が、1857年(安政4年)蝦夷地在住を命じられていた箱館にいき、箱館奉行の命で窯業を計画し、尾張常滑から本多桂次郎、美濃岩村藩から足立岩次などを招きました。
足立岩次一行は、陶工、かま職人、大工など40人ほどの大所帯でした。製作にあたって資金は箱館産物会所が2000両を貸し、薪は南部のマツ、陶土は最初、美濃から取り寄せ,以後は湯の川松倉山から採り使用しましたが、採算があわず長く続きませんでした。
その後、大正時代にも湯の川千代ヶ岱で焼かれていました。
3 . ガラス
ア 津軽ビードロ(青森県青森市)
青森市にある北洋硝子鰍ヘ、東北地方で唯一の手作りによる硝子工場です。
同社のガラス製造は、昭和24年、陸奥湾の漁業浮標(ガラス製浮玉)生産工場として創立されましたが、現在はその長年の技術を活かし、数々のガラス工芸に生かされています。
その中でも、津軽ビードロは、青森県日本海側七里長浜の砂を材料とするガラス製品です。主なガラス工芸作家として秋村実氏、大川薫氏がいらっしゃいます。
イ 渡島檜山のガラス工芸(北海道函館市、大野町)
ガラス工芸では、渡島檜山地方には以下の3つの工房があり、技法として吹きガラスです。函館硝子工房とザ・グラススタジオ・イン函館は、函館市の観光スポットである函館港に面したベイエリアにあります。
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そのほか、青森県内では弘前市に下川原土人形、ブナコ、津軽凧、津軽焼、弘前市、青森市、今別町などには津軽錦石、八戸市の南部姫まりなどの伝統工芸品があります。
渡島檜山地方では 北海道文化発祥の地といわれる江差町に、北前船交易によりもたらされた生活文化が数多く伝承され、桐の栽培、加工技術、山車づくり、追分人形づくり、桶製造などの工芸が残されています。
(6)職人名鑑
青森県では、県が伝統工芸の伝承のために県独自で「青森県伝統工芸士」を制定しています。
黒石市の津軽伝承工芸館では、館内で制作の実演を行っている津軽塗、わら工芸、烏城焼、黒石ねぷた4人の工人について紹介しています。
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