仏沼は、オオセッカをはじめとするたいへん貴重な野生生物の生息地となっている。この生態系は、ポンプ排水や火入れといった、干拓事業から始まる一連の地道な維持管理によって成立している。このように、経済効率を優先させない健全な農業が地域生態系を守っていることを子どもたちの伝えるために、三沢市は「環境教育牧場」を開設することとなった。ここでは、牧場の半分以上の土地を野生生物のためにビオトープとして提供するとともに、放牧ゾーンにおいても野生生物が共生できる農業を行おうとしている。
こうしてできたヨシの原 〜それは干拓から始まった〜
1963年、仏沼の干拓事業が始まった。しかし干拓が終了してからは、減反政策のために稲作が許されなかった。それでも農民たちは将来に夢を託し、数十年もの間ポンプ排水と毎春の火入れと放牧を続けた。その結果、広大なヨシの原が誕生した。
なくてはならない放牧地 〜循環型農業のために〜
三沢市の農業は、稲作と畑作と畜産の各農家がお互いに堆肥や収穫物をやり取りすることで支えあい、成り立っている。こうすることで他の地域に頼らず、負担もかけないようにしている。このうち乳牛や肉牛を飼育している畜産農家は、夏の間、牛を仏沼の放牧地に放している。このように仏沼の放牧地は、畜産農家だけでなく、三沢市の循環型農業にとって欠かせない存在である。
そこは野鳥の楽園だった 〜豊かな生態系の成立〜
農民による粗放な管理が功を奏し、仏沼に人と野生生物が共生する豊かな生態系が成立した。特に日本全国で湿地が失われ、生息地を追われた鳥類の目には、絶好の楽園に写ったことだろう。ここでは229種もの野鳥が見つかった。