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広報くろいし1999年9月1日号より
くろいし魅力百選 その27
−村上家のイチイ−
村上家のイチイ


 六郷地区長坂町内の村上武将家の庭園には、代々伝わる大きな"イチイの木"があります。

 この木が市の天然記念物として指定されたのは、平成2年12月6日。第25号の市の文化財に指定されました。

 村上家は、浅瀬石城主千徳政氏公の家老を勤めた村上理右衛門一族の子孫といわれ、慶長2年(1585)、津軽為信公により浅瀬石城が落城した後、現在地に移住。この時庭園を造り、イチイの木などを植えたといわれています。

 イチイの木は、別名「オンコ」あるいは、「アララギ」ともいわれる常緑高木で、わが国北部の深山に自生。幹は直立して約15mにまで達します。

 樹皮は赤褐色、葉は針葉で尖り羽状につき、3月〜4月に開花。実は9月ごろ熟し、橙赤色で甘く食べられます。

 村上家のイチイは、樹高5.2m、根周囲2.7m。推定樹齢は300年以上で、主枝の一部に老化が認められるものの、着葉や樹勢は良い状態です。

 樹形は、樹幹心梢を止めて半球形状に刈り込み、さらに、四方に主枝を放出させて、段作りの刈り込みをしています。また、最下位主枝を地面沿いに伸ばし、低い刈り込み仕立てとなっています。

 こうしたことから、全体の形は片枝流し作りの大刈り込みで、順風満帆の「宝船」が浮かんでいる姿を模写しているように見えます。

 枝張りは、全周35m。南北に14.2m、幅6mにも及び、北側が丸みを帯びているのに対し、南側は船の先のように狭い張り方をしています。

 村上家では、毎年8月に親族などが参加して刈り込みを行い、冬前には雪囲いなどの手入れをしていますが、維持・管理にはかなりの労力を要します。今年は、大雪の影響か、葉の一部が赤褐色に染まる被害も発生。日々の手入れにも、余念がありません。

 村上家のイチイは、大きさや樹齢の面において、弘前市の梅林寺や革秀寺のものに及ばないものの、「宝船」を模写した形は、この雪国の地で長い年月をかけて丁寧に作り上げられたものであり、威風堂々たる樹姿は、市の貴重な天然記念物として、大きな評価を受けています。



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