

2008年11月28日
自分はかつ丼が大好きだ。
天丼も親子丼もうな丼も玉子丼もカレー丼も好きなのに、かつ丼と聞くと別格の喜びが体中に満ちてくる。多分、それだけでも旨いトンカツが、卵とじにされている姿を見て贅沢を感じ、丼を抱えてガバガバとかっ込む奔放なスタイルが、食に対する人間の本能を目覚めさせることだったり、我を忘れて食べることで開放的になることだったり。
好きなものを好きであることにはたくさんの理由がある。でも、それを「いいじゃん、好きなんだから」で括るのもありだと思う。かつ丼には説明なんていらないのだ。
そんなかつ丼も、全国各地にはソースカツ丼、ミソかつ丼、あんかけカツ丼に、たれカツ丼…といった具合に、エリアごとに独自のかつ丼文化圏が存在し、多種多様な姿で親しまれている。
思えば、日本にはいくつもの縄文文化圏があるとされ、個々のエリアで過ぎて行った時間の名残が、遺跡のように見える形であるいは見えない形で残っているはず。そして、それが地域性という存在に姿を変えて日本に点在しているはずで、そう考えるともしかしたら、かつ丼は縄文文化が地域性という形で宿ったすごい料理かもしれない!
…なんて絵空事を考えていると、やっぱりかつ丼が食べたくなってしまう。大好きだから。
ということで、向かった先は亀ヶ岡遺跡からおよそ15分のところにある三浦食堂。木造駅方面から続くアーケード街の一角を占めるお店の暖簾には、しっかりと「丼物」の文字が記されている。
さっそく店内に入りかつ丼を注文…しようと思ったところで、隣のテーブルで中華そばを美味しそうに食べている姿が目に入る。こうなると、悩ましい二択だ。さすがに、両方のメニューをフルサイズで食べようとすると、中華そばを優先せざるをえなくなるので、かつ丼の器にくっつく最後のごはん一粒まで、しっかりと食べることができるだろうか?なんて不安になる。
そんな気持ちの弱さをごまかそうとメニューを見ていると、神のご加護のごとくに光り輝く「Aセット」の文字を発見。かつ丼と中華そば(小)がセットになったこのメニューをさっそく注文することに。

いやぁ…これこれこれ。とにかく、待ち望んでいたのはこの姿。
中華そばから立ち上る湯気には、鰹節や昆布、そして煮干しのダシの香りがたっぷり。半透明なスープが持つやさしくてまろやかであろう口当たりが、口にする前に想像の時点でも楽しめる。
さっそく、ぐびっと一口飲むと、思ったとおりにダシのしっかりとした味わいが広がる。全体にふわっとした軽さを持ちながらもずっしりとした旨みが一杯詰まっており、身体中に美味しさが浸透していく。そして、細麺とこのスープとの相性がよく、スープと麺が一体になった味わいに、うれしくなってしまう。
結局、そんな中華そばを3分の2ばかし食べたところで、カツ丼に手を付けることに。


オーソドックスな卵とじ型のかつ丼。
大きなかつの衣には、しっかりとダシの旨みが染み込んでいる。そんな、サクサク無縁のまろやかな衣をまとったかつが卵と絡んで…なんて、またしても食べる前から味を想像してしまう。ということで、ガブリ。
衣と肉のアツアツゾーンが舌を躍らせ、食べ応えのある肉と衣のコンビがなんともたまらない。また、煮込んでも衣と肉が一体のままになっている姿が、お店の丁寧な仕事ぶりを象徴している。
そんな、カツとご飯の間には、旨いダシが染み込んだ玉ねぎがたっぷりと敷かれている。シャキシャキとした歯触りと、ふんわりぎゅぎゅっとしたカツとの対比がご飯を止められる訳もなく、一気に食べてしまう。そして、丼の蓋を閉じる。幸せだ。
やっぱり、自分はかつ丼が好き。そしてそれは、いろいろな地域性をも包み込んでしまう、かつ丼という響きが好きなのかもしれない。


Aセット:1,000円
※メニューは一例です。