

2008年11月21日
空も海も山も平地も、そして遺跡も。今、青森県内はまるで白粉を塗ったかのように銀色の世界となっている。
45度より小さい数字の角度で、こちらに向かって吹き付けてくる雪の中で遺跡にいると、非日常性を高めると共に、傘に積もった雪の重たさを忘れさせるような、不思議な一面を見せてくれる。
昔の姿を残し、あるいは再現して見やすく整備された今の遺跡、特に三内丸山遺跡は、まるで公園のような存在であり、友達同士や家族連れが集まる憩いの場として親しまれているが、何もなかった頃の人々の行動様式と、リアルタイムが一体となった存在としての遺跡のほうが、見える景色としても見えない何かを発する場所としても、圧倒的に強い魅力を持っていると思う。
そして遥か昔には、ここで縄文人も焚火を囲みながら温かいものを身体に取り込むことで、寒さをしのいでいたに違いない。

おそらく、そんな遺伝子が体内にあるからこそ、雪の日には温かいつゆがたまらなく恋しくなる。しかも、ずっしりと出汁が効いたやつが恋しくなる。そこで、三内丸山遺跡から車で約8分程度にある、一軒のうどん屋さんに向かうことに。
そのお店、「まるなお」がある三内小学校通りには数々の飲食店が存在し、このお店も通りを賑わせる理由の一つ。店内に入ると目の当たりにできるカウンター席、テーブル席、そして座敷では、多くのお客さんが暖を取りながらハフハフとうどんを口にしている。
この日注文したのは、うどん雑炊。神奈川から移り住んでまだ間もなく、雪に慣れていない自分の身体を温めるには、あまりにも魅力的な名前の一品だ。

立ち上る湯気、表面は緑、山の幸、そして雪のような揚げ玉に覆われている。その下に眠るのは鶏肉、卵、エノキ、ネギ。食べているだけで発掘心が芽生えてくる。もちろん、鍋に手を触れると火傷必至なぐらいにアツアツなので、これを小さな器に取り分けて食べ進める。
途中で切れる気配を感じさせない、長くハリのあるうどんを鍋から引き上げて、器につゆを注ぎ、あとは好きな具を乗せてズルズルハフハフと食べる。すると、うどんの熱さが身体に乗り移るかのように、冷え切った身体を芯から温めてくれる。
滑らかな舌触りのうどんにダシがしっかり絡んだ味は、時間を追うごとにさらに濃厚な味となり、鶏肉をキュっとかみしめると、ダシと肉のエキスが一体となった旨味があふれ出す。結構なボリュームがある一品ゆえに、時間を追うごとに味が深まっていくのは、食べていての単調感をまったく感じさせない意味でも大きい。

うどんがほぼ終わったところで、木杓子で掬うのはご飯。まだ、アツアツの鍋の底からご飯を掬いだすと、再び勢いよく湯気が立ち上る。
ダシを吸ったうどんも旨いが、やっぱりダシを吸ったご飯が旨いこと旨いこと。これに卵の黄身をからめたり、鶏肉をからめたり食べる。ハフハフと口の形が不自然になっても、旨さのせいで手と口が止まることはない。
だから、おつゆもご飯も残らず完食。自然と身体には暖と活力がみなぎってくる。
次は、すきやきうどん鍋にすべきか、はたまた、かも汁つけめんに、いや、インパクトあるネーミングの冷やしおろしトンカツうどんにすべきか。そんなうれしい悩みに浸っている時間が、外の寒さを忘れさせてくれるから、このお店には絶えることなく人が足を運ぶ。


※祝祭日の場合は営業、翌日休み
かも汁つけめんうどん(そば):620円
※メニューは一例です。