

2008年11月7日
はっきり言って、自分は縄文遺跡を「普段使い」ができるデートスポットにすべきと思っている。
というのは、この連載を書いている中で、縄文遺跡という存在が未だに「あー…難しい」という、学術的な対象としての関心しか持たれていないのでは?と思うからだ。
たとえば、イギリスのストーンヘンジの場合には、「え?そんなものがあるの?」という部分を見た目のインパクトが担い、これを目的に人々が足を運ぶという、わかりやすい構図になっている。
そんな世界に名だたる世界遺産であっても、親しみやすさがあるからこそ、数多くのお客さんが足を運び、その結果としてその場所が持つ意味を、多くの方々に発信できるものだと思っている。
一方、「噛めば噛むほど味が出る」といった感がある青森の縄文遺跡の場合、何度も噛んでもらうための親しみやすさが必要で、その場所が「難しそう」と思われる要素は不要。そんな象徴としてのデートスポット、遠くの街に行かずとも近所のまったりスペースに行く。そんな感じのスポット。
そういうイメージで縄文遺跡を捉えると、それは公園となり、公園を二人で歩き回った後には、男子も女子もお腹が空いて、美味い食事やスイーツが食べたくなる。
ミステリーサークルのような環状列石がある小牧野遺跡から、車で約30分走らせると、そんなシチュエーションにぴったりのお店にたどりつく。
そのお店「羅針盤」は、豊富な種類のアイスで有名なカフェ。しかし、個人的にはこのお店の真価は、アイス以上に豊富なフードメニューとスイーツメニューにあると思う。

例えば、この「らしんばんドリア」。オーブンで焼かれたチーズの焦げ目が、食欲を喚起して、スプーンに乗せると芳ばしく濃厚な香りが立ちのぼる。
しかも、このチーズの下にはふわふわのオムレツが隠れている。なので、チーズの濃厚な味わいと、卵の軽い食感とコクがしっかり一体に。これは、難しさなんて皆無の美味しさ。
そんな、熱々のドリアを食べたあとは、食後のデザート。「本日のケーキ」という日替わりスイーツに「焼きりんご」の文字を見つけたからには、アイスではなくこちらに手が伸びてしまう。

見た目に鮮やかな焼きりんごは、テーブルに運ばれてくる前から、甘い香りが席に伝わってくる。そこに、蔕のようにミントがあしらわれたバニラアイスが乗り、ベリーを中心にした果物のソースを合わせると、アーティスティックな一品となる。
実は、このスイーツを作っているのは青山にあるお店で数年間修行を積まれたパティシエさん。なので、地元食材+トーキョースタイルといった、個人的にも「そうあるべき!」と思っているプロモーションが、プレートの上で展開されている。
湯気によって甘酸っぱさと甘さが入り混じった、甘美な香りが立ちのぼり、ナイフとフォークで皮をむいてすっと一片を切り出すと、アイスは静かに溶け出してソースと混ざり合うことで幾何学模様を生み出す。
地元・浪岡産の紅玉の甘酸っぱさと、ソース、そしてアイスのトライアングルは、りんごの味を引き出しながら、舌に新鮮な味を印象付ける。そして、艶を残しながらしっとりと焼かれた皮にソースを絡めると、こんなに気持ちいい味があるものかと唸ってしまう。
やはり、縄文遺跡から足を伸ばして伺える場所には、こんな感じのお店がもっとほしい。プレートの上に残ったソースを口にしながら、そんな思いは強くなるばかりだ。



※ラストオーダー19:30
※メニューは一例です。