

2008年9月26日
青森空港から車で約20分、通称「観光通り」からむつ湾に向かって車を走らせ、橋の手前を横に入った住宅街に、マーレルナという一軒のイタリアンレストランがある。
入口から垣間見える店内の第一印象は、「少しこじんまりとした空間」というもの。しかし一歩足を踏み入れると、一瞬前に持ったイメージ以上に広く、まるで三内丸山遺跡の大型住居に入ったかのような空間が広がる。
このお店のランチタイムは3種類のコースで構成されている。この日は一番ベーシックな“PRANZO_A”を注文。
特に好きだったのは嶽きみのスープ。今が旬の嶽きみの甘さを大事にし、その特長を引き出す仕事を施した味わいが、ひんやりとした口当たりから口の中を覆う。
また、みょうがのクセを、甘酢の爽快感の後に広がる味わいへと昇華させたピクルス。松の実のアクセントが効いたマリネ、ムール貝のレタスソースも、かぼちゃのサラダもいい。つまり、全部いいということ。
ガラス越しに見える厨房では、シェフが縦横無尽に動き回っている。自分の味だからこそ自分が責任を持って作るという、考えてみると至極真っ当なポリシーが、ガラス越しの姿からヒシヒシと伝わってくる。そして、そんなお店のメインだからこそ、期待せざるをえなくなる。
自家製のパンを食べながら、たぶん、お店とお客さんのいい関係とはこういうことなんだよなぁ…と教わる。

メインディッシュは、黒板に書かれいた「長谷川牧場の卵を使ったカルボナーラ」の文字が気になったので、ドリンク選びよりも前から決まっていた。
一本一本のパスタにしっかりと絡むクリームは、なめらかでコク深く、これを甘いたまねぎ、粗めに摩り下ろされたチーズのコク、そして生ハムに一仕事加えた塩味とエキス。まとめてフォークで巻き込み口に運ぶと、なんともたまらない。

食後のデザートは、イタリアの焼き菓子「スフォリアテッレ リッチェ」に、アールグレイのアイスクリームを添えたプレート。貝殻の形をした生地の中には、リコッタ、セモリナ粉、そして卵で作られたクリーム生地が入り、チョコレートソースが加わる三重奏で、立体的な甘さが生まれる。
もう一方のアールグレイのアイスは、一口食べただけで単純に「!」となってしまうほど、しっかりとアールグレイの味。この組み合わせがたまらない。

木をくり抜いた器に並べられたお茶菓子が運ばれてきた。
パッションフルーツのギモーブ(マシュマロ)、カカオのクッキー、軽快な食感のビスコッティ、アーモンドの飴を経て、口の中を爽やかにリセットするミントキャンディでクロージング。
このお店のスタンスは、「ゆっくりと時間が過ごせるお店」。
考えてみると、縄文時代に流れていたそれは今と比べてせかせかしたものではなく、実にゆったりとしていたはず。今も昔もこうした時間に身を置き、美味しい食材・料理を楽しむことは、本能を満たす至福以外の何物でもない。
今回は、縄文→縄→紐という連想で、パスタを注文したが、次回はイタリアの釜工房で作られた特別な釜で焼かれたナポリピッツアも楽しんでみたい。


※祝日の場合は営業・翌火曜日休業
※メニューは一例です。