

2009年11月9日
秋田県側から世界遺産「白神山地」に入ったことはあったが、青森に赴任して半年、いつか青森側からも入山してみたいと思っていたところ、先日ついにその機会に恵まれました。同じ縄文ファン執筆者である白神山地プロガイドの土岐さんに案内していただき、「縄文遺跡」ならぬ「縄文の森」と呼ばれる縄文時代から連綿と引き継がれてきたといわれるブナの原生林を散策したのでした。

白神山地の麓、西目屋村から車で入り、土岐さんが待つ白神山地の玄関口「アクアグリーンビレッジANMON」に向かった。ここは世界遺産「白神山地」のセンターハウスとなっており、当日は雨にもかかわらず多くの観光客で賑わっていた。せっかくの機会なので太陽がギンギンと差し込むような青空を期待していただけについてないなと思っていたら土岐さんが笑顔でこう切り出した。「最高の日に来ましたね」。はて?何がこの雨のどこが最高なのかと首を傾げていると、土岐さんは続けてこう言った。「みなさんは晴れた日がいいように思いますが、雨の日は木々が一番生き生きしている時です。ブナの木が根から水を吸収し、葉が元気に青々としています。」そう言われて、辺りを見渡すと確かにそのとおりであった。晴れた日の「白神山地」が最高のように思っていたが、土岐さんの一言で雨の日の「白神山地」の印象がガラリと変わったのでした。
「白神山地」と言えば「アクアグリーンビレッジANMON」からほど近い「暗門の滝」が有名ですが、土岐さんはそこからさらに車で10キロほど奥に進んだ津軽峠の近くにある土岐さんの所属する団体の名前を冠した「エコ・遊の森」という場所に案内をしてくれたのでした。その周辺は観光客がほとんどおらず、まさに映画「もののけ姫」に出てくるような手つかずの自然が広がっています。土岐さんは初めて訪れる私に観光名所として有名な「暗門の滝コース」ではなく、土岐さんイチオシの場所を案内してくれたのです。「エコ・遊の森」に向かう途中、土岐さんは白神山地や木々、自然になどについて冗談も交えながら楽しく話してくれました。
例えば、木は左右にバランス良く枝を張り出しているように思えるが混み合っている場所では実際は隣の木に迷惑を掛けないように片側に多く枝を張り出していること。また、ブナの木は葉に落ちた雨粒が葉から枝、幹へと流れて一筋の線になって地中へと流れることを教えてくれました。確かに、今日のような雨の日でも、ブナ林の中では空に大きな傘を差したようにほとんど濡れることなく歩くことができたのでした。
こうして土岐さんの話を聞いているとガイドの重要性に気づかされます。はたして何のガイドもなしに同じ場所に立
たとして何を感じられることができるのだろうか。そこで得られるものに大きな差があるように思います。また、これまで何度となく訪れた三内丸山遺跡も同様で、ガイドなしにただ遺跡を眺めるのとガイドの説明を聞きながら見る遺跡とでは全く視点が変わってきます。
そんな魅力的な「白神山地」と「三内丸山遺跡」ですが、「白神山地」を訪れた方には「三内丸山遺跡」を、また、「三内丸山遺跡」と訪れた方には「白神山地」をぜひセットで見ていただきたいです。青森の持つ壮大な魅力、ルーツが感じられるはずです。
もちろんそのときはガイドを忘れずに。

今春青森に移住し、週末はランニングで県内各地の縄文遺跡周辺を散策し、その後はもちろん青森まるかじり(肴、お酒、温泉…)