第7回 野外文芸館全国公募入選作品
テーマ『朝』秀逸以下略
 
短歌
大下 一真 選
天位
運動会の曲にあわせて千人の子らの手朝の空をつかめり
栗山 友子 (青森県十和田市)
 運動会の始めに、全員で体操をしているのでしょう。いっせいに手が高く伸びて、空をつかむように見える。明るい未来をもつかんでほしいと、作者は思っているはずです。爽やかな作品となりました。
地位
畑いっぱい収穫されず咲き盛るキャベツの花に差す朝の光
南 洋子 (青森県十和田市)
 収穫されないままキャベツが花を咲かせているのは、人間の都合なのでしょう。でも、キャベツにとっては嬉しいことです。「キャベツの花に差す朝の光」は、やさしい作者の眼差しと重なっています。
人位
朝より灘に鱈いさるわが船にロシア警備艇張りつき暮るる
向井 洋一 (大阪府岸和田市)
 領海内ぎりぎりのところで漁をする作者に、一日中監視をゆるめないロシア警備艇。知らず知らず緊張感を覚えました。知らない世界を短歌を通して教えていただきました。もっとたくさん歌ってほしい世界です。
 
俳句
廣瀬 直人 選
天位
十字架の天辺にある夏日かな
門崎 博雄 (北海道空知郡上富良野町)
 場所は国内でも外国でもよろしい。長い歳月を経た教会の尖塔を想像します。折柄、真夏の太陽がその真上にあります。「夏日」と「十字架」の歴史との呼応です。
地位
何事もなく朝が来て桃の花
永野 美千代 (福岡県古賀市)
 桃の花が咲き盛る春たけなわの日和です。それとともに日々の生活を、「何事もない」穏やかな日々。「朝」の一語が、昼も夜も包み込んでいる点に注目しました。
人位
かたまって朝の霧とぶ念珠かな
小山 百合子 (岩手県盛岡市)
 朝のお勤めのために本堂に向う僧の姿がある。手には「念珠」。湧いて流れる「霧」と「念珠」の取り合わせに確かな目がある。「かたまって」がポイント。
 
川柳
加茂 如水 選
天位
前向きに生きて朝日を手に掬う
末田 笑放子 (福岡県北九州市)
 後ろ暗さのない人生を送っている人は、賢者・愚者を問わず自然の恵みに感謝しながら、仕合せな暮らしに浸っている。「朝日を手に掬う」が言い得て妙。
地位
朝もやよ君も優柔不断だね
藤原 ヒロ子 (秋田県秋田市)
 話言葉を巧みに操った感性に脱帽。朝靄を決断のにぶいさまと見た眼力と句の仕立てに拍手。
人位
自分史の余白に夢を描く朝
野田 てるを (奈良県大和郡山市)
 自分史に余白があるとは羨ましい限り。その上未だ夢を持つ意欲、その限りないエネルギーを分けて貰いたい思い一入である。
 
[TOP]