第6回野外文芸館全国公募入選作品
テーマ『花』秀逸以下略
 
短歌
大下 一真 選
天位
やまぼうし咲く角曲り二軒目と新居の便りとどく初夏
五十嵐 敦子 (青森県上北郡野辺地町)
 やまぼうしは、白く清楚で、爽やかな感じのする花です。新居の通知が「やまぼうし咲く角曲り二軒目」とは、なんとも爽やかで、通知された方と受け取った作者、ともに爽やかな思いがうかがわれます。
地位
あさがおの大きな花がさきました大きな声でおはよといってみる
伊藤 遥 (愛知県安城市)
 あさがおは大きくてきれいです。花が咲くとうれしいですね。そのうれしい思いを「大きな声でおはよといってみる」と、たいどにあらわしたのがよかったですね。
人位
二百人の力を合せてグランドに組体操の子らの花開く
哘 惠子 (青森県十和田市)
 この歌では組み体操の子らが「花」に見立てられました。二百人といえばかなりの人数。まさに「子らの花開く」という感じだったのでしょう。二百人という具体的な数が、想像を容易にしてくれました。
 
俳句
山田 弘子 選
天位
身を水の流るるここち落花浴ぶ
佐藤 幸子 (青森県八戸市)
 人は年ごとに桜の花を待ち焦がれる。そしてそれぞれの桜を思い浮かべる。爛漫の花も勿論だが、風に散る桜への思いはまた格別である。それは日本人独特の滅びの美意識と通じるのであろう。作者は無心になって落花を浴びた。とめどなく散る桜はまるで作者の体の中を水が流れるような心地と表現した。落花の宇宙の中に立ったとき、作者の体そのものが非現実のものと思えたのかもしれない。落花の句として詩情深く詠みあげた。
地位
移り住む地に日の満てリ犬ふぐり
永野 美千代 (福岡県古賀市)
 新たな生活が始まろうとしている。見知らぬ土地というのは何となく不安もあるが、戸外を歩いてみると燦燦と降る日の光に促され、一面に犬ふぐりが咲いている。この大地に生きていく安堵と希望が湧いてきた一瞬。
人位
帰り道みんなあじさいに消えていく
山本 里奈 (愛知県安城市)
 これは児童生徒の作品であろう。今回、子供の作品に素晴らしい作品が多かった。しっかりとものを観る、情感を素直に伝える表現力に感心した。よき指導を得ているのであろう。掲句はそのうちの一句。この句は何ら誇張したり、力んだところはないが、下校生たちが群れ咲く紫陽花の中にまるで吸われるようにつぎつぎと「消えていく」さまを捉え、紫陽花の彩の空間をしっかりと描いている。
 
川柳
加茂 如水 選
天位
花野には余生の詩がきっとある
山根 里香 (広島県呉市)
 花が咲いている野辺。その茫漠とした中にはこれからの余生に明るい、楽しいことが沢山あるはずだ。希望を持って生きて行こうとこの句は前向きだ。頑張ろう。
地位
花筏つなぐ数だけある絆
岡見 よし (茨城県水戸市)
 花びらが水面に散って流れる様が筏を連想させる。その花びらの数だけの断つにしのびない恩愛、離れがたい実情がこの句から見られる。
人位
助演賞差し上げましょうカスミ草
日野原 冗児 (栃木県今市市)
 生け花を盛り上げる役どころのカスミ草に助演賞を与えたい。そんな優しい気持ちが伝わってくる。
 
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